仙台高等裁判所 昭和27年(う)657号 判決
強制罪に所謂義務なき行為とは法律上の観念であり吾人の社会生活において当然には自己の所有物を他人に貸与する義務のないことは所論の通りである。しかし原判決の認定した事実は前段に説示した通り被告人が被害者後藤正一を脅迫し畏怖せしめたる上同人をして強てその着用に係るアノラツク一枚を貸与せしめたものであり、それは右に所謂義務なき行為に該当することは言を俟たないところである。所論判示アノラツクが曾て野呂なる者から借りられたことがあること被告人は之を永く借りて置く意思がなくその晩の内に返しに行つたとの事実はいずれも本件犯行の成否に影響を及すものではない。